○ 窒素(N) 各種アミノ酸を作り、タンパク質を合成します(タンパク質は原形質主要成分)。 タンパク質には窒素が約16%含まれています。 植物が吸収利用できる窒素化合物はアンモニア、硝酸、尿素です。 過剰窒素は、葉が濃緑色となり、病気、干ばつ害、冷害を受けやすくなります。 ○ リン酸(P) 核酸、リン脂質(細胞膜)の構成成分です。 初期生育に多量に吸収する。根の伸長を良くし、発芽や分けつを促進します。 ATP、ADP としてエネルギー代謝、糖の生成に役立ちます。 土壌中での移動が少ないため、根圏にあるリン酸のみが有効となります。 過剰は Zn,Fe,Mg の欠乏を示します。 ○ カリ(K) 根や茎を強くし、耐病性を高めます。またタンパク質やデンプン合成を促進し、 糖の移動蓄積に役立ちます。 植物体内でもイオンとして存在し、細胞の膨圧を維持し水分調整をします。 (人の場合でも血圧を下げるにはカリを多く含む野菜、果物をとると良いと 言われています)。 過剰は Mg,Ca の吸収を阻害します。 ○ カルシウム(Ca) ペクチン酸カルシウムとして細胞壁を強くし、耐病性を強化します。 植物体内では有機酸と結合し不溶化します。 移動しにくい成分のため、先端に欠乏症が出やすくなります。 有害物質の中和と根の発育を促進する。体内のpH調整をおこなう成分です。 土壌のアルカリ化は Mn,B,Fe,Zn を不溶化し欠乏を起こします。 過剰は Mg,K,P の吸収を阻害します。 ○ マグネシウム(Mg) 植物体内に 0.1%〜0.7%含まれます。 葉緑素の主要構成成分で光合成に関与します。 リン酸の吸収や移動を助けます。 生育中期 〜 生育後期にかけてマグネシウムの消耗が激しくなります。 カリ、カルシウム、マグネシウムのバランスが崩れると欠乏しやすくなります。 植物体内では移動可能なため、欠乏症は下位葉から現れます。 ★ 微量要素の働き (ホウ素、マンガン、モリブデン、鉄、亜鉛、銅) 作物にとって微量要素は確かに極微量ではありますが、高品質、多収を 目指す昨今、三要素のみの施肥体系ではバランスが崩れ、様々な生理 障害や病害、連作障害等の弊害を生じます。 微量要素の働きは様々ですが、多くの酵素の成分として存在しています。 ここに三要素と共に 「ヨーヒ」 の葉面散布 の必要性があります。 ○ ホウ素(B) 花芽分化、花粉の発芽と果実の細胞分裂を促進します(無機の植物ホルモン)。 糖の転流を高め、生長点の生長を維持します。 カルシウムの吸収を高め、ともに細胞壁を強化します。 ホウ素は非金属のため、他の微量要素のような酵素に関係した作用ではなく (OH)基と結びついて、糖類、アルコール、フェノール(芳香族)と化合物を作ります。 マメ科作物や十字科作物、特に花数の多い果樹などの高等植物には必要量の 多い要素です。微生物 には必要性もなく土壌の中では無機態として存在する ため、土壌から流亡しやすく、露地栽培では不足しやすい要素です。 ○ マンガン(Mn) 葉緑素の中に含まれ、光合成の時に水を酸素と水素に分ける 酸化剤の役割をする。ビタミンC の合成や呼吸作用、 窒素の同化に関与するなど多くの酵素に不可欠です。 過剰は鉄の過剰吸収を起こし、体内でのリン酸の移動を悪くなります。 高pH土壌や有機物過多土壌は欠乏がおこりやすくなります。 土壌中のマンガン量は微生物の活性度によっても増減します。 ○ モリブデン(Mo) 窒素の消化吸収を助けます。 硝酸還元酵素として吸収した窒素をアンモニアに変えて、 さらにアミノ酸へと合成します。ビタミンC の生成に関与します。 ○ 鉄(Fe) 鉄酵素としてチトクローム、カラクターゼなどの酵素を構成し、 呼吸作用(酸素の運搬)として働きます。 ○ 亜鉛(Zn) 葉緑素、インドール酢酸(植物ホルモン)の生成に関与します。 過剰は鉄欠乏を呈します。 ○ 銅(Cu) 各種酵素を形成します(チトクロームa、チロシナーゼ、ラッカーゼ、アスコルビン酸酸化酵素)。 過剰は鉄、マンガンの吸収や移行を阻害します。 |
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